マハト(日本語:マハト)は、山田鐘人原作、アベツカサ作画による漫画『葬送のフリーレン』の登場人物。
魔王配下の精鋭――「七崩賢」最強の賢者であり、魔力がフリーレンだが彼女を倒すことができた4人の魔族の一人。
得意とする「万物を黄金に変える魔法(ディー・アゴールゼ)」は、生物を含むあらゆるものを自在に黄金へと変えることができる。この現象はほぼ不可逆であり、フリーレンからは「最強の呪い」と呼ばれ、自身もその名から「黄金郷のマハト」の異名を持つ。
性格は傲岸不遜で、他人との争いを好まず、従順さもあまり持ち合わせていない。魔王やシュラハトの命令もあまり気に留めず、魔族の発展にも関心がない。ただし、衝突がない時には他人との交流も厭わない。
同じく七崩賢の一人である奇跡のグラオザームとは相性が非常に悪く、最も苦手な相手だと考えている。
ある出来事をきっかけに人類に興味を持ち、そのために人類を研究し、人類特有の「悪意」や「罪悪感」といった概念を理解しようと試み、ひいては人類との共存を目指した。その過程で、ある人間と奇妙な共生関係を築くことになる。
名前の由来はドイツ語で「権力」を意味する。
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約600年前、マハトはフリーレンを含む魔法使いの一団と交戦し、彼らを完膚なきまでに打ち負かした。フリーレンの右腕を黄金に変え、彼女がそれを解除するのに100年近くを要したが、そのおかげで彼女は「万物を黄金に変える魔法」を解除するイメージを持つことができた。 勇者一行の旅立ちの約10年前、マハトは魔王から命じられた村の虐殺任務の最中にある神父に出会った。「悪意」や「罪悪感」を理解しない自分に対して神父が憐れみを向けたことに気づき、彼を殺害した後、これら二つの概念の意味について考え始めた。これを機に人類に興味を持ち、より深く理解したいと願うようになる。 マハトは当初、人間を殺戮することや人間同士の殺し合いを観察することで人類を理解しようとしたが、成果は得られなかった。そこで人類の研究に熱心なソリテールを訪ねたが、魔族と人類の類似は「収斂進化」の結果に過ぎず、両者の内面は完全に異なり、相互理解や共存は非現実的であり、そのための努力は時間の無駄であると告げられる。マハトは自分には使い切れないほどの時間があると言い、人類を少しでも理解するために殺戮を続けた。 勇者一行の旅立ちの約1年後、マハトはシュラハトから南の勇者の討伐に同行するよう誘われた。当初は興味がないと断ったが、同行者にグラオザームがいることを知り、やむなく承諾した。マハトはシュラハトの表情から今回の戦いの結末が過酷なものになると察し、その未来に祝福を贈った。 マハトは南の勇者との戦いで生き残った。シュラハトはあらかじめ、何者かがマハトの記憶を覗き見ることを予見していたため、同じく生き残ったグラオザームに、シュラハトと別れてから南の勇者と交戦した後の期間のマハトの記憶を消去させた。 その後もマハトは人間を殺し、人間同士が殺し合うのを観察し続けたが、やはり収穫はなかった。だがある日、名もなき少年が自身の幼馴染を殺した後に激しい感情の揺れを見せたのを観察した。マハトは大いに喜び、自分とより親密な対象を殺すことで、より多くの収穫が得られると確信した。 勇者一行の旅立ちから約10年後、マハトは城塞都市ヴァイゼの外で領主グリュックの馬車を襲撃し、グリュックを負傷させた。グリュックはマハトとの対話を通じて、彼が人間の「悪意」や「罪悪感」に興味を抱いていることに気づき、自分はそれらの概念を熟知しており、マハトにも理解させることができるかもしれないと告げ、取引を持ちかけた。グリュックはマハトがそれらを理解するまで付き合い、マハトはグリュックに仕えて彼の政治的目的を達成させるというものだった。マハトも快くこの取引に応じ、人間と魔族の奇妙な共生が始まった。 マハトはグリュックの家臣となり、すべての政敵を排除して、悪意に満ちた都市を豊かな都へと変貌させた。グリュックは魔王が討伐された機に乗じて、マハトを正式にグリュック家の魔法使いに任命した。グリュックは欺瞞に長けたマハトに外交を任せつつ、必要な殺戮も行わせた。そうすることでマハトに正義と悪の概念を教え、ひいては「悪意」や「罪悪感」を理解させようとし、最後まで付き合うことを約束した。これらの仕事の傍ら、マハトは襲来する魔王軍の残党を殲滅し、グリュックの遠縁であるデンケンとも知り合い、彼の魔法の師となった。デンケンに様々な技術や戦術を教え込み、優秀な魔法使いへと育て上げ、彼とグリュックの娘であるレクテューレとの間の想いを見抜いていた。二人が後に結婚した際にも、非常に喜んでいる様子を見せた。 帝国はかつて精鋭の魔法使いであるフレース使者としてヴァイゼへ定期調査に訪れた際、マハトはフリーゼが一人でヴァイゼを滅ぼせるほどの恐ろしい実力を持っていることを見抜き、帝国がこれほどの強者を送り込んできた目的を疑った。そのため、先手を打ってフリーゼを排除することを主張したが、グリュックはそれを拒否し、自ら正当な方法で使節を迎え入れた。 勇者一行が冒険を終えてから約20年後、権力の奪還を目論む貴族たちがグリュックとマハトに関する噂を捏造し、支配の石環を用いてマハトの行動を縛ろうとした。魔族の本質を知らない貴族たちの思惑を察していたグリュックもこれに協力し、支配の石環でマハトに対し「服従」と「悪意を抱いてはならない」という二つの命令を下した。[2]。 勇者ヒンメル死去の20年ほど前、生離死別を経験したグリュックはすでにひどく老いさらばえていた。30年間にわたりグリュックの傍にいたマハトは、この30年間の経験を非常に大切に思っていると告げ、だからこそ、この都市を滅ぼすことで「悪意」と「罪悪感」という二つの概念を理解しようと試みた。マハトの予想に反して、グリュックはこの結末を予期していたと語るのみで、最後に一本の煙草に火を点けるようマハトに頼み、マハトがいつか報いを受けることを予言した。マハトは30年間の日々に思いを馳せながら、ヴァイゼのすべてを黄金に変えた。 マハトは翌日になっても悪意を抱いたことによる死を迎えることはなかったが、ヴァイゼを黄金化した瞬間に確かに何らかの感覚を抱いた。そのため、場所を変えて再び実験を行うことには意味があると確信したが、そこへヴァイゼに突入してきたゼーリエゼーリエが自身の計画を中断させた。万物成金魔法がゼーリエの「呪い返しの魔法」によって跳ね返され苦戦を強いられ、ゼーリエに全力で攻撃を仕掛けようとしたところで、ヴァイゼに踏み込んできた数名の一級魔法使いによって戦闘は中断された。彼らはゼーリエに対し、マハトが死ねばヴァイゼは永遠に元に戻らないと告げ、対魔族用結界でマハトを封印することに同意させた。マハトはこの強力かつ複雑な結界を解くことができず、また結界に付随する認識阻害魔法によってヴァイゼの存在を察知することもほぼ不可能となった。そのため、マハトは結界の中で悠々自適に過ごし、時折結界を破って現れる無謀な者を殺しては、黄金に変えてヴァイゼの入り口に吊るし、後続の来訪者への警告とした。 勇者ヒンメルの死から30年後、大陸魔法協会は黄金郷ヴァイゼの攻略準備を開始した。マハトは一級魔法使いタオ率いる先遣隊を全滅させ、隊にいた二級魔法使いフリュにおいてレルネンとエーデルの目の前で黄金に変えて見せしめとしたが、二人はそれでもヴァイゼへと足を踏み入れた。当初はレルネンを殺してから黄金に変えようとしたが、逆にレルネンに足止めされる。二人の目的を知ると即座に殺害することを決めたが、逆にエーデルによって約100年分の記憶を読み取られ、二人は黄金郷からの脱出に成功した。その後、この記憶はデンケンへと引き継がれた。 ヴァイゼの管理を引き継いだデンケンは、毎日マハトのもとを訪れて交渉を行った。毎回進展はなかったものの、彼は平和的な解決の可能性を求めて通い続けた。ある日、彼はフリーレン一行を連れてマハトと対話した。フリーレンはその後の会話の中で執拗にマハトを挑発したが、それは魔法を放つ瞬間を間近で観察し、万物成金魔法の情報をより多く得るためであった。マハトは以前のゼーリエとの戦いから軽率な行動を控え、交渉はそのまま終了した。デンケンたちが去った後、マハトはかつてのシュラハトとの対話や、交渉中にフリーレンが投げかけた「なぜ人類と共存するために殺戮を行うのか」という問いを思い返し、フリーレンに自分の記憶を心ゆくまで読み取るよう愉悦を込めて告げた。 その後まもなくヴァイゼに到着したソリテールは、2ヶ月の時間をかけて黄金郷を覆う大結界を解除した。マハトは、ソリテールが本来自分を殺すために来たことを知る。共存を求めてマハトが取った行動が、極めて深刻な結果を招くと考えたからだ。しかし、ソリテールは勝利を確信できなかったため、計画を「考えを変えさせるか、その結末を見届ける」ことに変更してマハトに協力することにした。こうして二人は手を組み、残ったデンケンやフェルンとシュタルク交戦する。 マハトは自身の弟子であるデンケンと戦い、デンケンの長年の大きな進歩に感嘆する。一方でフリーレンが自身の勢力圏から逃れることを懸念し、戦闘を早期に終結させるべく「万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)」を放ち、ソリテールと交戦中だったフェルンとシュタルクを黄金に変えるが、呪い返しの魔法を習得していたデンケンに反転される。自身の黄金化に抗いながらデンケンと戦い、加勢に来たソリテールと協力してデンケンをも黄金に変えた。ソリテール:私のトリプルキルがなくなっちゃったじゃない!ソリテールからフリーレンが「万物を黄金に変える魔法」を解析する可能性があると告げられ、戦いはまだ終わっていないことを知る。 ソリテールの予想通り、魔法を解析したフリーレンが戦場に乱入し、デンケンの黄金化を解除する。フリーレンはマハトの理想に敬意を表しつつも、魔族が人類との共存を模索することは必ず人類の滅亡を招くとして、マハトが人類の敵であることを指摘する。 両者は再び開戦し、マハトは黄金郷の中で黄金化を無効化したデンケンとの戦闘を続行する。必殺の魔法を破られながらも、戦闘の中で成長し続けるデンケンに対し、マハトは依然として圧倒的優位に立っていた。それにもかかわらず、彼は 自身の最期を悟ったマハトはヴァイゼの街並みを逃れながら、自らの生涯を振り返り、自分も他の魔族と変わりなかったのだと感嘆する。元の姿に戻ったグリュックに出会い、報いが来たと告げる。追ってきたデンケンを見て、マハトはグリュックを人質に取ろうとするが[3]、直後にデンケンによって滅ぼされる。これをもって、七崩賢は全員戦死した。 その後、グリュックはフリーレン一行に対し、マハトの最期は見事なものだったと語り、彼に最高の結末を与えてくれたことに感謝した。 |